大盛りのひつまぶしを堪能したあと、デパートの喫煙ブースで一服。
食べてすぐ歩くには少ししんどかった。
場所を移してゆっくり飲もうということになり、デパートを出た。
栄の街をぶらぶら歩き店を探していると、とある雑居ビルの看板に
目が止まった。
その看板は「本格焼酎Barリー」という文字。
階段で二階に上がり店の前まで行くが、店の入口には扉のみ。
店内の様子も分からず、店の前に立っている看板にもメニューや
値段が書いてない。少々不安だったが、入ることにした。
店内は薄暗く、入った正面には十人ほどが座れるカウンターがあり
カウンターの奥には様々な焼酎瓶が並べられていてカメに入った焼酎も
並んでいた。カウンターのほかにテーブル席もいくつかあったが
八時過ぎということもあり店内はだれもいない。
二人が入ってきても誰も出てこない。一瞬「ヤバイかも」と思ったが
奥からマスターらしき人物が出てきて、我々はカウンターのほぼ真ん中に
座った。メニューを渡されて見てみるとその焼酎の多さに驚いた。
クリアファイルになったメニューには芋をはじめ米、黒糖、栗、泡盛など
各銘柄の特徴も書かれていた。
まずは私のお気に入り芋焼酎「明るい農村」をロックを頂いた。
二杯目は「朝日」を頂き「がんこ焼酎屋」、「神座」へと続いた頃
常連さんらしき一人の客が仲間三人を連れて入ってきた。
その中の女性ひとりが久米島から来たらしく、店にある泡盛に
興奮していた。その泡盛とは「久美の月」で既にもうこの泡盛は
造っていないらしく幻中の幻だということだった。
それを見た女性はすかさず携帯を取り出して写メを撮って
久米島にいる友人に送っていた。
私はそんな珍しい幻の泡盛があるなんて知らなかったので
無性に飲みたくなった。この機会を逃す手はないと思い
友人と私は注文して一口飲んだ。
「なんだ、このすっきりとした甘さとまろやかな飲み口は!」
私も興奮して常備していたデジカメで貴重なボトルを撮った。
隣りに座っていた四人は相当詳しく店内にある貴重な焼酎や
泡盛を教えてくれた。
そんな貴重なお酒がたくさんある店とは知らずに偶然入ったが
大正解だった。
名古屋での夜、私は至福の時を過ごした。


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